PeruAndes.Vallunaraju(CordillrasBlanca) 2004.6.16−7.4      
アンデスの魅力は、なんと言っても短期間で6000m級の山々に登れることであろう。ヒマラヤのように面倒な手続きや登山料も必要ない。好きな山を自由に登れる。麓の町からBCへも1〜2日もあれば入れる。更に、交通の便も良く、物価も安い。 2004年6月、雨季の日本を離れアンデスの山とトレッキングを楽しんできた。この時季、アンデスは、連日好天に恵まれ、登山のベストシーズンだった。
6月16日
17日
6月18日〜7月1日
7月2日
7月3日
7月4日
 成田15:45発−ヒュスートン13:40−リマ22:36着(CO)
 リマ9:30(バス)−ワラス17:30
 登山準備、高所順応とトレッキング、登山活動
 ワラス11:50(バス)リマ18:50、タクシーで空港へ(約40分) リマ空港発23:45(CO)
 朝、ヒュスートン6:27着、ヒューストン10:50発(CO)
 成田空港14:20着。

バジュナラフ北峰


左上南峰山頂、右南峰
北峰山頂、右バジュナラフ北(左)南峰(右)
6月29日(快晴)ワラス(車2時間)登山口4400m(3時間)BC4900m
朝、市場で生肉、生鮮食品など購入、8時ワラスを出発する。トヨタハイエースで、バジュナラフ登山口に向かう。1時間ほど走ると、そこは、もうのどかなアンデスの風景が広がっていた。車は、広々した高原状の道を時速20kmくらいで登っていく。道路は、雨が降ると川になるらしく、でこぼこ道が続いている。2時間ほどで登山口に到着。直ぐ上部には、1軒の無人小屋がある。正面右には、ランラパルカ、オクシャパルカの圧倒的な姿が見えた。
ここからBCへはかなりの急登だ。よく見ると登山道らしき踏跡がある。見上げる上部は垂直に近い。ゆっくりと、高度に身体を馴染ませながら、じぐざぐに登って行く。やがて、スラブ状の岩場に出た。フリクションを効かせ、乗り越えると、開けた草付とスラブ帯に出る。ここで、昼食。振り返る眼下は、取り付きが見えないほど、かなりの高度差で切れ落ちている。
今日も快晴で、空はみごとなアンデスブルーが広がっていた。ここから、やや傾斜の落ちた草付を直登、更に左上にトラバース、岩尾根をしばらく登るとBCに着く。標高は4900m。岩壁に囲まれた台地で、整地すればキャンプサイトが幾つか取れる。近くにはきれいな水も流れている。BCには既に外国隊のテントが設営され、数パーティかが登りに来ていた。

   
 BCへ向かう
バジュナラフBC.4900m

6月30日(快晴)BC〈30分)GL取り付き(4時間30分)山頂(3時間)BC
朝6時BC出発、ヘッドライトの明かりを頼りに岩場を登る。10分ほどでスラブ帯に出る。フリクションの効く岩で、小さなホールド、スタンスを拾いながら上部に抜ける。右上に登ると、広い大岩のテラスに出る。絶好の台地だ。ここから氷河に取り付く。ハーネスを付け、登攀用具をセット、アンザイレンする。いつものことであるが、この緊張感がいい。
雪上には、先行したイタリア隊のトレースがついている。直登して、左上ぎみに雪面を登る。やがて、徐々に夜が明け始める。朝日が昇り、足元の雪面がキラキラ輝きだす。ワスカラン、ワンドイも朝の陽光ののなかに浮かび上がる。この一瞬のドラマは、なんと荘厳で美しいことか、ここでしか体験できない贅沢な光景だ。
今日は5パーテイが登っている。単調な雪面の登りだが、クレパスは要注意。ところどころにヒドンクレパスがあり、踏み抜いた跡もある。ルートはクレパスを避け、上手くつけられている。
登りはじめて1時間、早くも2パーテイが下山してくる。ギブアップ だと言いながら諦めて下っていった。
やがて、南峰から派生した巨大な雪壁の下に出る。ここで軽食、休憩をとる。前方にはバジュナラフの全貌が姿を現す。なかなかいい山で、日本隊の記録が殆んどないのが不思議だ。
ここまでも結構しんどい登りだった。パルスオキシメーターをチェック、Spo2は80%。まあまあの数値。ここでも、又、下山してくるパーテーに会う。ギブアップグループだ。結構、元気そうなのにもったいない。
今日は、我々の出発が遅れ、どうやら最後尾のようだった。下からは、誰も登ってこない。
先行するイタリア隊は、頂上近くの複雑な雪庇の突破に苦しんでいる。凄い所を登るんだなあ と思いながら、見ていると、諦めて右にルートを変更した。我々は楽なものである。朝寝坊のお陰で、クライミングルートを迷うことな、くトレースをたどればいい。
ここでパーテーをふたつに分ける。Kとガイドのパラヨ、私とガイド見習いのポーターに分け、それぞれに自分のペースで登ることにする。メインロープはKに渡した為、私はシュリンゲを何本かつないで登る。滑落さえしなければ大丈夫であろう。一歩一歩確実に、ゆっくりと高度を稼ぐ。正面に山頂を望み、頂上を形成している複雑な雪庇の張り出しに向かう。ここが最後の踏ん張りどこだった。イタリア隊が阻まれたクレパスと雪庇帯だ。
ここから、右にトラバースする。緩やかな登りで、南北双方分岐のプラトーに出た。一足先に相方が北峰に登頂、私は、彼の下るのを待って、メインロープを借り、南峰に向かう。トライアングルの山頂まで15分ほどで、11時20分に登頂。山頂は鋭く狭いピークだった。反対側を覗き込むと、足元は岩壁の上に氷が乗った雪庇になっていた。
振り返ると、北峰は目の前で雪庇の上につけられたトレースが望める。その右側にはランラパルカ、オクシャパルカの氷の壁が望まれ、眼下遥か、土色のワラスの町も見える。
これで南北双方のピークに登頂、後は、のんびりと下るだけだ。
急いで下るにはもったいないほどこの山は美しい。
限りなく、蒼く白い氷河、巨大なクレパス、セラックなど、周辺の景観がなんとも素晴らしかった。
下るほどに、日差しが強く、暑くなってきた。
雪が腐り、アイゼンに付着して歩きにくい。雪をアックスで落としながら、幾度も休憩を取り、ゆっくりと山を下る。BCには16時30分についた。



BCから望む.ランラパルカ
7月1日(快晴) BC(2時間)登山口(2時間)ワラス
朝はゆっくりと起きて、日本から持参の特性Coffeeをたてる。
テントの外に出て、適当な岩に腰かけ、贅沢なモーニングコーヒーを飲む。目の前にはランラパルカが朝の陽を浴びて輝いている。あくまでも青いアンデスの空。今日も快晴の1日になりそうだ。
10時、テントを撤収、荷物をまとめ、BCを後にする。
苦しかったけど何とか頂上に立つことが出来た。後は慎重に下るだけだ。12時、登山口に着いた。20分ほどで迎えの車がくる。ワラスへは途中、インディオの遺跡に立ち寄り14時30分に戻る。


海外登山と世界の山旅       アンデス情報